現実というファンタジー
主人公メギーは物語を朗読しちゃうと、その物語の中の登場人物をこちらの世界へと招待できちゃう魔法の声の持ち主。
彼女のお父さんのモルティマもそう。
とうとう、いろいろあって、家族みんなである一つの物語の中に入って行ってしまう。
読み手の時は、ただ本を持って危険な冒険にハラハラドキドキしたり、妖精の住む美しい世界を想像してうっとりしていればよかった。
けど、実際にその物語に入ってしまうと、ほんとに命の危険にさらされるし、美しい妖精に触れると火傷しちゃったりする。
ファンタジーの中のリアルに埋没する。
そして、むろん、もともとその世界に住んでいた者たちは、自分の世界がファンタジーなんてこれっぽっちも思ってない。メギーたちが自分たちの物語を読んでいたなんて想像できる訳がない。そして、私はそのメギーたちの物語を実際、読んでいる。
いくつもの層ができているかのようだ。
私は、この目の前に広がる世界を現実として認識している。家族も友人も。掃除、洗濯。食べる、寝る。そして、この自分自身も。
ひょっとして、私の物語を読んでる、別の世界のひとがいるのかもしれない。
私とはなんだ?
この世界とはなんだ?
宇宙とはなんだ?
現実とはなんだ?
意識とはなんだ?
全て、実は、幻想だそうな。
私は私のファンタジーを作り出し、その中にどっぷりと浸かっているらしい。
自分を主人公とする自作自演のファンタジーだ。
突拍子もない事なのに、なぜかそうかもなぁってどっかで思ってる。そうだよねって。
この世界は全部、幻。
今、何も起こってないし、過去にも何も起こらなかった。
どんな感じする?