膜①
ある時、ふと気がついた。身体の周りに膜をはっていたことに。
その膜は半透明で分厚くて、私の周りをおおざっぱにくるんでいる。
だから感覚が鈍くなる。
見えるもの、聞こえるもの、触れるもの
全てがいまいちリアルじゃない。
この世界がやけによそよそしい。
唯一リアルなものと言えば、胸の重苦しさと空虚感だけ。
あー。なんか。いつ死んでもいーなーと思いながら死んでるように生きていた。
若かりし頃。
心の学びを始めて暫くたったころ、いつの間にか膜にくるまれて世界を見ている感覚がなくなった。
私が私の人生を生きている!
という初めての実感を得たような気がしていた。
急に世界がワントーン明るくなったように見えた。
リアルな世界を五感で感じたことで膜の感覚は
「心と身体が乖離」
していた状態だったんだなと
学びたての知識でもっともらしく結論付けていた。
それからしばらくの間、心の学びを深め
「乖離」を感じることはなくなっていた。
それなのに、この1年程の間に時折蘇ってくる乖離感。
あまりに懐かしい感覚。
そして、感じることさえ恐ろしい感じがする動揺。
何が起こっているのだろう?
私に?